無料相談から現地調査へ。マンションの一室で起こっていた体調不良の原因とは
- dir- T.Y

- 7月3日
- 読了時間: 5分
当社では、月に一度、無料相談会を実施しています。

ただ、実際にお越しいただけるお客様は限られます。というのも、体調がすぐれず、外出そのものが難しい方が少なくないからです。なかには、ガスマスクを持参して来られたお客様もいらっしゃいました。
今回ご相談に来られたのは、比較的お近くにお住まいのお客様。過敏な傾向はあるものの、化学物質過敏症とまでは言えない方でした。
お話を伺うと、「マンションのある一室にいると体調が悪くなる。でも、原因がまったくわからない」とのこと。間取り図面と室内写真をご持参いただいていたので拝見したところ、いくつか気になる点がありました。
考えられた原因は、主に次の4つです。
① パイプスペースの影響
部屋の近くにパイプスペースがあり、そこから何らかの影響を受けている可能性
② リフォーム後の建材や施工の影響
室内は非常にきれいで、内装も新しく見えたため、リフォーム時の建材や施工由来の化学物質の可能性
③ 電磁波の影響
お客様の感覚的な不調と、電磁波環境が関係している可能性
④ 所持品や収納内部のにおい
収納の中や持ち物から発生するにおい、あるいは過去の使用履歴による残留臭気の可能性
もちろん、写真だけでは判断できません。そこで、まずはヒアリングを細かく行い、お客様の症状や発症時期、生活状況について詳しくお聞きしました。
「引っ越してしばらくしてから体調が悪くなった」
お話を整理すると、体調不良が出始めたのは引っ越し後しばらくしてからとのことでした。
ただ、引っ越しをされた時期はまだ寒い季節。そうなると、暖かくなってから揮発が進み、症状が表面化した可能性も考えられます。つまり、原因自体は入居当初から存在していたのかもしれません。
症状としては、
のどが痛くなる
目が痛くなる
気分が悪くなる
といった、いわゆる不定愁訴に近いものでした。
症状の出方から、ある程度は関与している化学物質の傾向を推測できる場合もあります。しかし今回は、何の化学物質なのかを特定するところまでは難しい状況でした。
正直なところ、この時点では「これが原因です」と言い切れるものがありませんでした。
ヒアリングだけで断定するのは難しく、今回は現地を見て、実際に私自身が空間を体感しないと判断できない。そうお伝えし、翌日すぐに現地へ伺うことになりました。
現地に入って感じた、わずかな違和感
訪問したのは、とても上品なマンション。室内もきれいに整えられていて、丁寧に暮らしていらっしゃることがよく伝わってきました。
ところが、その問題の部屋に入った瞬間、わずかながら「何かおかしい」という違和感がありました。
いつも通り、ホルムアルデヒドやパラジクロロベンゼンなどの測定も行いましたが、数値としては特に異常は出ません。ただ、私の感覚としては、どこか防虫剤系の臭気を感じました。
そこで、部屋の各所を一つひとつ確認していきました。
まず、候補だった①パイプスペース付近は問題なし。
次に、②建材や内装材も一般的なもので、特に不自然な点は見当たりませんでした。
③電磁波についても、測定値としては「まあこの程度なら通常範囲」という印象です。
そして最後に確認した④収納内部。
収納扉を開けた瞬間、やはり防虫剤系の臭気を感じました。
「おそらく、ここが怪しい」「確かに体調に変化が・・・」
そう感じ、お客様にもその場でお伝えしました。
原因箇所を絞り込むための“封止テスト”
とはいえ、「怪しい」だけでは終われません。本当にそこが原因なのかを確認するには、原因箇所を特定する必要があります。
そこで当社のほうで、その収納部分を特殊なシートで覆い、臭気が室内に出てこないよう一時的に封止しました。そして、2〜3日ほど様子を見ていただくことにしました。
数日後、お客様からご連絡をいただきました。
「やはり、そこが原因だったことがわかりました」
収納を封止したことで症状が軽減し、原因箇所がかなり明確になったのです。
原因はわかった。でも、その先が難しい
今回、原因箇所までは特定できました。
ただし、ここからがまた難しい問題です。
このお部屋は賃貸物件です。
では、収納内部に残っている臭気に対して改修を行う場合、その費用は誰が負担するのか。オーナーなのか、不動産会社なのか、それとも入居者なのか――そこが大きな問題になります。
しかも厄介なのは、この臭気が誰にとっても問題になるわけではないということです。
一定以上に敏感な方にとっては明らかに不調の原因になりますが、そうでない方にはまったく気づかれないこともあります。さらに、こうしたケースでは、測定をしても数値として出ないことが珍しくありません。
「不調はある。でも、証拠として示しにくい」
これが、この手の問題のもどかしいところです。
おそらく今回は、前の入居者の方が収納内に防虫剤などを入れており、その成分や臭気が収納内部の壁面などに染みついていたのではないかと思われます。実は、こうしたことは決して珍しくありません。
過敏な方にとって、引っ越しは“賭け”になることがある
化学物質やにおいに敏感な方にとって、引っ越しはある意味で“賭け”のようなものです。
内見の短い時間だけでは見抜けないことも多く、住み始めてから初めて症状として現れるケースもあります。
今回も、原因箇所は特定できました。
しかし、不動産会社やオーナーと改修について交渉し、時間や労力をかけて解決を目指すよりも、引っ越したほうが精神的な負担が少ないという結論になりました。今回はお客様に経済的な余裕もあったため、その選択をされました。
もちろん、すべての方が同じ判断になるわけではありません。ですが、こうした事例は実際によくあります。
無料相談で終わらないケースもある
今回は無料相談にお越しいただいたことがきっかけで、最終的に現地調査まで行い、原因箇所の特定に至りました。
「部屋にいると体調が悪くなるけれど、何が原因かわからない」そんなとき、原因は建材だけとは限りません。収納内部の残留臭気、前の住人の生活痕、季節による揮発の変化など、思いもよらないところに原因が潜んでいることがあります。
今回のケースも、同じようなお悩みを抱える方にとって、ひとつの参考になれば幸いです。



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